運動療法

身体を動かし「遊び」を通じて

多様性運動による成長の促進や基礎体力、

姿勢保持能力を身につけます。


運動療育を行う4つの目的

運動療育では以下の目的を持ってプログラムを行います。
全ての目的を併せ持たなければいけない訳ではありませんが、子どもが持つ特性や療育の進み具合などによって、その時最も必要とされている目的を達成できるプログラムの考案が求められます。

 

1.協調運動の発達を促すため

発達障がい児の中には、感覚の協調を苦手とする子が多くいます。日常生活の中には感覚の協調を必要とする事が多く、目から見た情報と体の動きを協調させたり、左右の手の動きを協調させたりすることも必要です。

健常児が無意識で出来ている、感覚と行動の協調は一部の発達障がい児には大変難しい行動であることが少なくありません。

運動療育を通して、感覚や行動の協調を学ぶことも目的のひとつです。感覚や行動の協調は日常生活や運動以外に、勉強などにも必要です。
鉛筆を握って字を書く際、視覚で字を書く位置やバランスを確認しつつ指先で鉛筆をコントロールし、書きたい文字を脳で考えて字を書きます。運動療養によって感覚や行動の協調がスムーズに行えるようになると、学習意欲が向上することもあるでしょう。

2.自分の体のコントロール方法を学ぶため

運動療養によって、自分自身の体をコントロールする能力を身に付ける目的もあります。発達障がいを持つ子どもの中には、力のコントロールを苦手とする子が少なくありません。

自分では軽く他人に触れたつもりだったのに力が入り過ぎてしまい「叩いた」と認識されてしまったり、そっとプリントを持ったつもりがクシャクシャに握りつぶしてしまったりします。本人のイメージと力加減がしっかりとリンクせず、「乱暴」「粗雑」などのイメージを持たれてしまうケースも多くみられます。

運動療法を通じて、自分自身の体のコントロール方法を学び、自分自身のイメージとパワーコントロールのズレを減らすことも期待されます。

3.自己肯定感を高めるため

発達障がい児の多くは健常児と共に過ごしています。一般の保育園や幼稚園に通いながら療育を行う子どもや、小学校では通常級と特別支援級を併用するケースも多いからです。

その中で、コミュニケーションが上手くとれないことや、健常児と同じ事をできないという失敗経験を積みやすいのが大きな問題となっています。
失敗を繰り返すことで自己嫌悪や自己否定を起こしてしまったり、他人と上手く関われないことで消極的になってしまうケースもあるでしょう。

運動療育では「できた」という自己肯定感の向上を目的とする一面もあります。運動には多種多様なものがあり、勝敗にこだわるものばかりではありません。机に座って行う学習に比べると、プログラムの内容を慎重に考えれば「できない」を限りなく減らすことも可能です。

子ども自身が持つ療育へのモチベーションを高め、自信をつけさせる際にも運動療育は適していると言えるでしょう。

4.ストレスを発散するため

発達障がい児の中には多動性や衝動性などの特性を持ち、じっとしている事を苦手とする子ども達も少なくありません。そんな子ども達にとって着席して机に向かって行う療育は、多かれ少なかれストレスになることもあるでしょう。

子ども達のストレスを発散させる意味でも運動療育が取り入れられています。
運動療育で充分に体を動かしてからパワーを発散させてから学習療育を行ったり、頑張って着席して療育に取り組んだご褒美として楽しく体を動かす運動療育を行うなど、子どもにとってできる限りストレスを減らしながら療育を行うためにも大切なプログラムです。

 

運動療育の効果

一般の保育園や幼稚園、学校などでも、外遊びや体操、体育などの授業はつきものです。子どもの発達にとって運動は欠かせないものと言えます。療育でも、子どもの発達にとって運動が必要だという点は同じです。

続いては運動療育を行うことで期待できる効果について解説していきます。

感覚統合のトレーニングになる

発達障がい児の中には、感覚統合を苦手とする子が多くいます。

感覚統合とは複数の感覚を整理することで、私達は日常生活の中で無意識に感覚統合を行っています。全身で感じるさまざまな刺激の中から、必要な刺激や情報を連動させているのです。

話を聞いている時に、どこかで何かの音がしたら、音が聞こえた瞬間は意識するものの「話を聞かなければ」とまた意識を相手む向け直します。この時、脳では相手の声に意識を向け、他の情報や刺激に意識を向けないよう感覚をコントロールしているのです。

感覚統合が苦手だと、相手の話を聞かなければいけないと分かっているのに、他の刺激が気になったり、興味を引く刺激に注意を向けてしまったりします。

運動療育では、全身にさまざまな刺激を受け情報を整理しながらプログラムを行います。これにより、必要な情報を優先したり、反対に不要な情報を意識的に排除する感覚統合のトレーニングになります。

脳細胞の成長を促す

運動をして体の動きと共に脳を働かせると脳由来神経栄養因子(BDNF)という物質が分泌されます。BDNFは、脳の発達に欠かせない分泌で、神経細胞の形成や脳の重要な血管を作る物質です。

このように、運動は体の発達だけでなく脳の発達を促す効果もあります。

 

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